第115章

リビングは水を打ったように静まり返り、誰もが息を潜めた。できることなら、この場から消えてしまいたい――そんな空気。

重たすぎる沈黙が、頭皮をじわりと痺れさせる。

大島莉理の視線は、思わず田中辰哉の背中へ落ちた。

田中爺さんがこの家でどんな存在かなんて、誰もが知っている。紛れもない大黒柱。逆らうなど、本来は許されない。

たとえ相手が田中辰哉でも。

……それなのに、今日はどうしたというのだろう。

どうして田中辰哉が――。

莉理には分からなかった。

田中辰哉は振り返り、田中爺さんを見た。口元だけをわずかに持ち上げる。笑っているのに、目が冷たい。

「爺さん。俺をこのまま家から追い出...

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